赤ちゃんを出産して、幸せいっぱいのはずなのに、なぜか急に悲しくなってしまう。
ちゃんと赤ちゃんのお世話ができるのか、家事や仕事と両立できるのかを考えると、不安になって夜も眠れない。
しかもそれが長く続いている……。
そんな人は要注意です。
もしかすると、産後うつになってしまっているのかもしれません。
今回は、意外と多い産後うつの症状とはどのようなものか紹介します。
また、産後うつ対策として有効な漢方薬も併せて紹介します!
産後うつってどんな症状なの?
産後うつとは、出産後にうつ状態に陥ってしまうことです。
情緒不安定になったり(笑っていたかと思うといきなり泣き出す等)、明確な理由もなく不安な気持ちになったり、イライラしたりするほか、全身の倦怠感や、不眠や頭痛などの身体的な症状が現れる事もあります。
この他にも、育児がうまくできていないように思えて不安になったり、愛情を感じられなくなるといった症状が現れる事もあります。
産後うつはれっきとしたうつ病の一種です。
よく似た症状にマタニティブルーズがありますが、マタニティブルーズが一過性のもので、自然におさまっていくのに対して、産後うつは2週間以上症状が続きます。
長い人であれば、1年以上も続く場合があります。
産後うつの原因はホルモンバランスの乱れであったり、育児ストレスであったりと様々です。
自分自身でストレスを溜めないように対処することもできますが、それだけでは対策が難しい場合もあります。
精神科や心療内科を受診してみるのも良いですが、病院を受診することに抵抗があるという人もいるのではないでしょうか。
また、病院に行くには赤ちゃんを誰かに預けなければならないことが多いですから、行きたくてもなかなか行けないという人もいますよね。
そんな時は、薬局などでも購入することができる漢方薬を服用するという手もあります。
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漢方における産後うつ対策とは?
東洋医学では、産後うつのように出産後にイライラや精神不安、頭痛などの不調が現れる事を「血の道症」と呼んでいます。
東洋医学の考え方では、産後の女性は「血」を大量に失った状態だと考えます。
人間の健康は「気」「血」「水」の3つの要素がバランスよく整っていることで成り立つと考えられているのですが、出産で大量の血を失った女性は「血虚(けっきょ)」という血が不足した状態になりやすくなっています。
また、母乳も血液から作られるため、産後の女性は余計に「血虚」なりやすいのです。
血が不足すると、体力的につらくなるばかりでなく、精神が不安定になってしまいます。
そのため、情緒不安定になったり、気分が落ち込んだり、イライラしたりするなどの症状があらわれ、長引くと産後うつに陥ってしまうのです。
また、血流が悪くなる「お血(おけつ)」になると、疲れやすかったり、ふさぎがちになったりします。
東洋医学では、不足した「血」を補うことで産後うつの対策をします。
そこで、血液を補ったり、血流を良くする効果のある生薬を使って血の流れを整えて、産後うつの症状を緩和していくのです。
産後うつに効果のある漢方薬は?
では、実際に産後うつに対策効果が期待できる漢方薬を紹介したいと思います。
加味逍遥散
体力が落ちて疲れやすくイライラしたり、気分が不安定な人におすすめです。
10種類の生薬から作られている漢方薬です。
不足した血を補い、また、血行を調整する作用があります。
更年期障害の治療にも良く使用されますが、更年期障害と症状の似ている産後うつにも効果が期待できます。
きゅう帰調血飲第一加減
疲れやすく、イライラしている場合。
また、手足が冷える人におすすめです。
21種類の生薬から作られている漢方薬です。
血を増やし、血の流れを良くするための処方がされています。
また、気のめぐりや胃腸をあたためる効果もあります。
出産後に用いられる漢方薬としては、もっともメジャーなものの一つです。
抑肝散
イライラして神経が高ぶっている人、そのせいで眠れない人におすすめの漢方薬です。
五臓六腑の一つである「肝(肝臓とは別の概念)」を抑える効果があります。
神経の高ぶりをおさえることで気を落ち着かせてくれます。
寝る前に服用すれば、スムーズに入眠でき、深く質の良い睡眠をとることができると言われています。
まとめ
産後うつは、程度の差こそあれ、産後ママの1割程度が経験すると言われています。
10人に1人と聞くと、よくある症状で大したものではないかと思いがちですが、うつ病の一種、つまり病気です。
放っておくと、赤ちゃんのお世話もままならないほどのうつ状態に陥ってしまう可能性もある恐ろしいものです。
症状の軽いうちに対策をすることが、産後うつを悪化させないために重要なのです。
対策としては、ゆっくり休んで体力を回復させたり、ストレス対策をすることが効果的ですが、自分自身でできる事には限界があります。
そんな時は、手軽に手に入る漢方薬を試してみるのも一つの対策方法です。
漢方は、母乳育児中のママでも服用できるものが多いので、活用してみてくださいね。