産後クライシスってご存知ですか?
これは、2012年に、NHKの情報番組で提唱された言葉です。
産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況のことを言います。
特に日本の場合は、妻の夫への愛情が下がり続けるというケースが多く、いったん下がったしまった愛情度は、放っておくとなかなか回復しないようです。
ベネッセ次世代育成研究所が行った調査によると、妊娠中は男性も女性も70%以上が愛情を実感していたにもかかわらず、出産後、子どもが2歳になる頃には男性は50%、女性は35%程しか愛情を感じなくなってしまうという結果がでています。
子どもが誕生して幸せいっぱいなはずのこの時期に愛情が薄れてしまうなんて、しかも最悪の場合は離婚に至ってしまうなんて由々しき事態ですよね。
この産後クライシスを引き起こしてしまう原因は一体何なのでしょうか。
ママ側とパパ側、それぞれの側から原因を探ってみたいと思います。
また、産後クライシスの対処策として、カウンセリングという方法を紹介したいと思います。
産後クライシスを引き起こす原因【パパ側】
産後クライシスを引き起こす原因のうち、パパ側にある原因とはどのようなものなのでしょうか。
大きな原因として挙げられるのが、「パパの育児への理解のなさ」です。
女性は出産したとたん、生活スタイルが一変します。
24時間体制で赤ちゃんのお世話をして、睡眠も食事の時間も十分に取れず、生活のほとんどを育児に費やします。
特に産後すぐは体調も回復しておらず、生活リズムも確立していないので、大変な思いをするものです。
しかし、多くの場合、男性の生活は女性ほど変化しません。
今までと同じように外出したり、家事全般をママに任せたりしていると、女性は苛立ちを感じてしまいます。
また、育児にいっぱいいっぱいで家事まで手が回らないことを理解してもらえなかったり、子供の世話をせず自分の事ばかり優先したりすると、ますます女性のイライラが募り、愛情が薄れていってしまう傾向があるようです。
産後すぐの女性は、まだ体のあちこちに痛みや不調が残っています。
精神的にも不安定になりがちです。
そのため、普段以上にストレスを感じやすい上、赤ちゃんのお世話にかかりっきりで、溜まったストレスを発散することもなかなかできません。
夫に対して感じたイライラがストレスとなって蓄積し、酷いと嫌悪感に変わり、愛情が薄れて産後クライシスに陥ってしまうのです。
産後クライシスを避けるためには、ママの大変さを理解してあげることが大切です。
「お疲れ様」「ありがとう」といったねぎらいの言葉をかけてあげることや、出来る範囲でも育児に参加することで、ママのストレスは軽減されます。
また、言葉をかけてもらうことで愛情を感じることができ、産後クライシスを予防できるのです。
Sponsored Link
産後クライシスを引き起こす原因【ママ側】
産後クライシスを引き起こす原因は、パパの態度だけではありません。
ママ側にも大きな要因があります。
そもそも産後は女性ホルモンのバランスが大きく変化するので、精神が不安定になりがちです。
普段なら何とも思わない事でもイライラしたり悲観的になったりしやすくなります。
そのため、産後クライシスを引き起こしやすくなってしまうのです。
また、「イクメン」という言葉が多用されるようになり、ママ自身が「夫も積極的に育児をしてくれて当たり前」だと思い込んでいる場合も、産後クライシスを引き起こす原因になります。
例えば芸能人のブログやニュースなどで、積極的に育児をする夫像を目にしたりすると、当然自分の夫もそうであるものと過剰に期待してしまいがちです。
しかし現実はそうでない事も多く、理想と現実のギャップに苛立ってしまうのです。
逆に、ママが一人で家事も育児も抱え込んでしまうことも産後クライシスの原因になります。
24時間体制で赤ちゃんのお世話をしながら、出産前と同じように家事をこなすのは非常に難しいものです。
それなのに、「きちんとやらなきゃ!」と自分を追い込んでしまうと、ストレスが溜まり、産後クライシスの引き金になってしまうこともあるのです。
大切なのは、過度な期待はしないこと、ひとりで抱え込まない事です。
周囲の協力を仰ぐことも必要です。
その際は、パパが自主的に動いてくれるのを期待するのではなく、して欲しい事を具体的に伝えましょう。
男性は女性よりも気持ちを察して動くのが苦手だと言われています。
具体的に伝える事で、お互いにストレスなく助け合えるのです。
産後クライシスのカウンセリングとは?
自力で産後クライシスを解決するのが困難な場合は、カウンセリングを利用するのも良いでしょう。
カウンセリングは、心療内科などで受けることができます。
1回の費用は、クリニックにもよりますが、5000円程度という場合が多いようです。
カウンセリングでは自分の気持を聞いてもらうことができますし、もし必要であれば睡眠薬や安定剤などを処方してもらう事もできます。
カウンセリングを受ければ魔法の様に産後クライシスが治るというわけではありませんが、自分の気持ちを吐き出すだけでも楽になることもありますよ。
心療内科を受診することに抵抗がある場合は、子育て支援施設などでカウンセリングを受けられる場合もあります。
また、電話相談を行っている場合もあります。
市役所などに問い合わせてみると良いでしょう。
まとめ
産後クライシスは、産後女性の半数が経験するとも言われているものです。
思い詰めて離婚という最悪の結果に至らないようにするためにも、周囲の理解を得る事はとても重要です。
ママは積極的にしてほしい事を伝え、パパはできる限り手伝いをしたり、ねぎらいの言葉をかけてあげることで、苛立ちやストレスを軽減することができます。
自分たちで解決するのが難しければ、カウンセリングを利用することも出来ます。
自分たちに合った方法で、産後クライシスを乗り越えていきたいですね。