赤ちゃんの成長が早いと、親にとっては嬉しいものですよね。
しかしながら、それが発達障害の兆候であるとしたら話は別です。
育児をしていて、「つかまり立ちなど、成長が早過ぎると、発達障害の可能性がある」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
今回は、どうしてそう言われる、本当に成長が早いと発達障害の可能性があるのかについてまとめたいと思います。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきの脳機能の障害・特性です。
代表的な診断名では、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)、学習障害などがあります。
耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
世界保健機関(WHO)による定義では、「『発達障害』とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
」とされています。
発達障害は、障害の種類によってそれぞれ診断名がついていますが、「この診断名だから必ずこの症状が出る」というわけではありません。
症状の出方は千差万別。
同じ診断を受けている子供でも、大人しかったり攻撃的だったりと様々ですし、素人が一見しただけでは、発達障害なのか、単に性格的なものなのか分からないことも多いものです。
発達障害は生まれつきの脳機能の障害なので、完治することはありません。
しかしながら、適切な訓練をしたり療育をすることで、うまく社会に適応したり、自分の特性を伸ばすこともできます。
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発達障害の特徴は?
症状が千差万別である発達障害ですが、その特徴として代表的なもの(特に小さい子供に見られる症状)を紹介したいと思います。
- あまり泣かない
- 抱っこしづらい
- 指さしをしない
- はげしい癇癪を起こす
- コミュニケーションが苦手(言われたことをそのままの意味で受け取ってしまう、想像して動くことが苦手等)
- 場の空気をよむことができない(曖昧な表現が理解できない、相手の気持ちに寄り添って考えるのが苦手等)
- 特定のものへのこだわりが強い
- 視線を合わせない
- 話をきいていないように見える
- 片付けが苦手
- じっと座っていられない
- 座っていてもそわそわと身体が動く
- 順番が待てない
- 気に障ることがあると叩いたりしてしまう
このような症状は、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害などの子供によく見られる症状です。
しかしながら、このどれかにあてはまっているからといって、必ずしも発達障害というわけではありません。
逆に「あまりこの傾向は見られないな」と思っても、発達障害でるケースもゼロではありません。
専門家でないと、一番近くで見ている親であっても判断は難しいのが発達障害です。
つかまり立ちが早いと発達障害かもしれないの?
では、「つかまり立ちなどの成長が早いと発達障害かもしれない」と言われるのはなぜなのでしょうか。
つかまり立ちが早いと発達障害を疑う理由
なぜつかまり立ちが早いと発達障害の可能性があると言われてしまうかですが、これは発達障害の中の「多動」という特徴に関係があります。
例えば、発達障害の赤ちゃんの中には、月齢の低い頃から動きが激しかったという子がいます。
寝返りもできない頃、布団の上に寝かせていたら、キックだけで2メートルも移動していたとか、眠っている間も手足を激しく動かしていて、まるで何かと戦っているようだったというケースがあります。
この赤ちゃんのケースでは、危険を顧みず良く動くので、ハイハイやつかまり立ちも早い時期にできるようになったようです。
ただ、転ぶ時はしりもちをついたり手をつかずにバタっと倒れたり、常に動き回っているので怪我が絶えなかったそうです。
発達障害の中でも、常にじっとしていられず動き回るという特徴が強く現れる赤ちゃんであれば、つかまり立ちも早いというケースがあるのです。
そのため、「つかまり立ち等が早いと発達障害の可能性がある」と言われることがあるのです。
発達障害でもつかまり立ちが遅いことも
逆に、つかまり立ち等の発達が遅い、1歳を過ぎてもつかまり立ちしないというケースもあります。
なかなかつかまり立ちや歩行をしないと健診で精密検査を勧められることがあるので、どちらかというと、発達が遅い方が、親や周囲の人間が発達障害の可能性に気づきやすい傾向があります。
これは、発達障害の子供の中にはバランス感覚の発達が遅い子がいたり、低緊張といって、体幹が弱いためにバランスをとって立つことが難しいなどのケースがあるためです。
ただ、赤ちゃんの成長は個人差が大きいものです。
動くことが大好きで、積極的につかまり立ちをする子もいれば、たとえ運動機能が十分に発達していても、慎重派の赤ちゃんは立ったり歩いたりすることに慎重で、できるようになる時期が遅い子もいます。
つかまり立ちの時期だけで発達障害かどうか判断することはできません。
もし気になる点があるのであれば、専門機関を受診することをおすすめします。
1歳前後の赤ちゃんの場合は、まだ発達障害かどうかハッキリとした診断が下らない場合もあります。
しかし、注意して経過を見守ることで、もし発達障害だった場合に、できるだけ早い時期から治療や療育を始めることができます。
発達障害は風邪のように「完治」させることができるものではありませんが、早い時期からこれらの対処を行うことで、赤ちゃんが今後社会に出て行く時にも順応しやすくなり、生活するうえで感じる困難を減らしてあげられるのです。
まとめ
赤ちゃんの成長というのは、親にとって一番気になるものですよね。
もしも発達障害があったとしても、出来る限り本人が社会で困らないように対処をしてあげたいものです。
つかまり立ちやハイハイなどの時期が早いか遅いかが発達障害の症状の一つとして見られることもありますが、専門家でないと診断はできないもの。
もしも気になることがあったら、一人で悩まず、保健センターや医療機関で相談してみて下さいね。