出産を終えたばかりの身体は、まだまだ妊娠前の状態には戻っていません。
子宮や骨盤が元の状態に戻っていくには時間がかかります。
赤ちゃんを育てるためや母乳を分泌させるために、ホルモンのバランスも大きく変わっています。
その身体の変化による影響を大きく受けるのが、排卵、そしてそれに伴う生理やおりものです。
妊娠前と出産後ではおりものの量が変わったという人は実は多いものなんです。
婦人科系の話なので、あまり家族や友人から耳にする機会がないかもしれませんが、産後にオリモノの変化を感じている女性は大勢います。
いったいおりものが増えるのはなぜなのか、妊娠前の状態に戻るのはいつからか。
気になりますよね。
そこで、今回は産後のおりものについてまとめたいと思います。
産後のおりものが増えるのはなぜ?いつから正常になるの?
出産直後から出る「悪露」は卵膜や子宮内膜、胎盤の残骸やリンパ液などが混じったものです。
はじめのうち血液のような状態の悪露も、次第に生理のようになり、褐色になり、黄色っぽくなって最後は透明のおりもの状へと変化していきます。
この産後の悪露が終わった後も、おりものの量が妊娠前よりも多くなったと感じる女性は大勢いるのです。
個人差はあるものの、悪露が終わるのは通常産後1ヶ月頃です。
この頃は、まだまだ身体は回復途中で、ホルモンバランスも乱れがちなんです。
おりものの量は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量と大きく関係しています。
そのため、女性ホルモンの分泌量が変わるとおりものの量が増えたり減ったりするのです。
では、いつから女性ホルモンのバランスが整い、いつからおりものも正常に戻るのかというと、目安は産後1年くらい経った頃です。
この頃には身体も概ね回復し、赤ちゃんは離乳食が進んで母乳の分泌が減る場合が多いので、ホルモンバランスも妊娠前に近づきます。
そのため、おりものの量も妊娠前の状態に近づくことが多いのです。
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産後のオリモノも排卵期に増える?
生理が再開した後であれば、排卵の周期によってもオリモノの状態が変化します。
生理周期が28日の女性であれば、生理直後はオリモノの量が少なくなります。
ただ、生理中に排出されなかった胎盤の残りがオリモノに混じることがあるので、茶褐色のオリモノが出る場合があります。
前回の生理開始日から10~14日後頃は、排卵日が近づいているため、オリモノの量が増えます。
排卵前のこの時期のオリモノはサラサラしています。
前回の生理開始日から14日前後は排卵期です。
この時期はオリモノの粘度が高くなり、ねばねばとしたオリモノが出ます。
また、オリモノの色は、それまでは卵白のようだったものが、透明になります。
オリモノの量は体調のバロメーターでもあります。
排卵の影響による場合もあれば、炎症や感染症のせいでオリモノが増えることもあります。
通常、オリモノは生理の後は量が減り、排卵にむけて増えていきます。
これは正常なサイクルです。
ここ数日、オリモノが増えたなと思ったら、いつから増えていつから減っていったか、生理周期と照らし合わせて観察してみましょう。
産後、おりものに血が混じっていた!これって大丈夫?原因は?
おりものの量の変化の他に心配なのが、血が混じっている場合ですよね。
何かしら不調のサインなのか、自然な事なのか考えられる原因を紹介します。
生理の影響
産後、生理が再開している場合は、生理の影響でおりものに血が混じることがあります。
血が混じっていたのが生理の前であった場合は、生理の前兆のようなものだと考えられます。
また、生理の直後だった場合は、生理の残りが遅れて出てきたものだと考えて良いでしょう。
この時期の出血は、強い悪臭や性器の痒みなどの他の症状を伴わなければ様子をみて良いでしょう。
血が混じっていたのが、生理と生理の間の時期であれば、排卵出血である可能性があります。
排卵出血は、卵巣から卵子が排出される時に、卵子が周辺の組織を傷つけてしまい、出血するというものです。
この排卵に伴う出血も、悪影響のあるものではないので、出血が排卵期にあたり、他の症状がないのであれば様子をみても良いでしょう。
ホルモンバランスの乱れの影響
産後はホルモンバランスが乱れがちであるのは前述したとおりです。
育児のためにホルモンの分泌量が変化します。
それに加えて、産後は育児ストレスや睡眠不足、疲労の影響でもホルモンバランスが乱れやすいものです。
このことが影響して、一時的に子宮内膜が剥がれかけると、おりものに血が混じることがあります。
他に症状がない場合は、できるだけ疲れやストレスを溜めないよう、横になったり気分転換をするようにしてくださいね。
病気によるもの
産後のおりものに血が混じる場合、たいていは生理やホルモンバランスの乱れによるもので、心配はありません。
しかしながら、中には病気の影響で出血している場合もあります。
例えば、子宮筋腫や子宮内膜炎、ポリープの影響で出血することがあります。
また、クラミジア感染症のような感染症により、膣が炎症を起こして出血することもあります。
中には子宮頸がんなどの重篤な病気が原因で血が混じる場合もあります。
他に症状がなく、短期間で血が混じらなくなる場合は問題ないことが多いですが、出血が頻繁である場合や、血が混じる以外にもおりものの量や色に変化がある場合、下腹部痛、排尿痛、発熱や性器の痒みなど、他の症状を伴う場合は病気の可能性もあります。
おかしいなと思ったら、早めに婦人科を受診するようにしてくださいね。
まとめ
産後におりものが変化するのはよくある事です。
おりものは疲労やホルモンバランスの影響をうけるので、産後に量が増えたり多少においが変化しても不思議ではありません。
いつからおりものが妊娠前の状態に戻るかは個人差があります。
ただ、産後1年頃になると、体調もホルモンバランスも落ち着いてくるので、この時期におりものの状態も落ち着いてくることが多いようです。
ただ、多少の量の変化や出血が混じる程度なら問題はありませんが、明らかに量が多い、悪臭を伴う、発熱や痛みなどの症状を伴う場合は病気の可能性もあります。
異変を感じたら、早めに病院を受診するようにしてくださいね。