産後の肥立ちという言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
「産後の肥立ちが悪くて……」と聞くと、何となく体調が悪いのだろうなと想像はつきますよね。
しかし、具体的にどんな状態なのかときかれると困ってしまいますよね。
そもそも「産後の肥立ち」とはどういう意味なのでしょうか。
また、産後の肥立ちが悪いとどのような症状が起こるのでしょう。
産後の肥立ちを良くするためにできることとはどのようなことがあるのでしょうか。
今回は「産後の肥立ち」についてまとめてみたいと思います!
産後の肥立ちとはどういう意味?
肥立ちとは、病人や産婦が、日が経つにつれて健康を回復する事を意味します。
産後の肥立ちとは、出産を終えた女性の身体が、妊娠前の状態にまで回復するという意味です。
具体的には、妊娠で大きくなった子宮が元の大きさに戻ったり、産道や会陰の傷が治ったり、体力的にも精神的にも回復したりといったことが挙げられます。
産後の女性が体調を回復するには、一般的には6~8週間かかると言われています。
最近では産褥期という言葉が使われることも多いので、経産婦さんは聞いたことがあるかもしれません。
昔から、この期間は無理をせず、できるだけ安静にして身体を回復させることが大切だと考えられてきたのです。
つまり「産後の肥立ちが良い」とは、産褥期に子宮や身体の状態が順調に回復しているという意味です。
逆に、「産後の肥立ちが悪い」とは、心身の状態がなかなか回復せず、不調が続く事を言うのです。
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産後の肥立ちが悪いとどうなるの?
では、産後の肥立ちが悪いと、実際にはどのような症状が現れるのでしょうか。
代表的な症状をいくつか紹介したいと思います。
まずは、産褥熱です。
傷ついた産道や子宮などから細菌感染を起こして発熱するものです。
2日以上にわたり38℃以上の熱が続きます。
抗生物質がなかった時代には重症化することもあり、最悪の場合死に至ることさえありました。
現在ではそこまで重症化することはごく稀ですが、産後に発熱が続いた場合は病院を受診するようにしましょう。
他には、子宮の戻りが悪くなることがあります。
これを子宮復古不全といいます。
なかなか悪露がおさまらずに続いていたり、後陣痛がなかなかおさまらないといった症状があらわれることがあります。
乳腺炎も産後の肥立ちが悪い時にも起こる症状です。
乳腺炎は、母乳が乳腺に溜まったり、乳腺が詰まったりして炎症を起こし、乳房のしこり、痛みや発熱などの症状を引き起こすものです。
産褥期でなくても起こるものですが、体力や抵抗力が落ちていると乳腺炎にもなりやすくなるので、産褥期に回復が上手くいっていないと起こりやすいのです。
また、開いた骨盤がなかなか元に戻らず、尿漏れや腰痛が起こることもあります。
産褥期に無理して動いたり、早く体型を元に戻したいという焦りから、本来は身体を休めるべき時に激しい運動をしてしまうと、骨盤が元に戻らなかったり、歪んでしまったりして、不調の元になってしまうのです。
更に、精神的な部分では、産後うつの症状が現れることがあります。
眠りたいのに眠れなかったり、気分が落ち込んだり、わけもなく不安になったりと精神不安定になります。
産後はホルモンバランスが乱れるので、もともと精神が不安定になりがちなのですが、体調の回復が遅れると、それだけ精神的にも負担がかかって産後うつに陥ってしまうことがあるのです。
産後の肥立ちを良くするための対策は?
産後の肥立ちを良くして、心身ともに回復を早めるためには、なによりも安静にすることが大切です。
床上げという言葉があるように、産後は布団を敷きっぱなしにして、できる限り横になって休むことが、産後の肥立ちを良くするためには一番大切だと言えます。
赤ちゃんのお世話で忙しく、なかなか心から休める時間は取れないかもしれませんが、育児以外の家事はできるだけ周りにお願いして身体を休めましょう。
また、産後の肥立ちを良くするためには、栄養をしっかりとることも大切です。
体力の回復が何よりも大切なわけですから、エネルギー源食事は、栄養豊富なものをきちんと摂るようにしましょう。
特に、タンパク質やカルシウム、鉄分は良い母乳を作るためにも必要なので積極的に摂ってくださいね。
さらに、産後は目を酷使しないように気をつけましょう。
スマホやパソコンを長時間使用するのは避けた方が良いです。
寝る前のパソコンやスマホの使用は熟睡の妨げになるとも言われます。
ただでさえ赤ちゃんのお世話で睡眠不足になりがちなので、短い時間でもぐっすり眠れるよう、スマホなどは控えるようにしましょう。
また、目を酷使すると血液を多く使うので、めまいや貧血の原因にもなりますから、気をつけてくださいね。
この他、身体を冷やさないようにしたり、適度にストレスを発散させることも大切です。
産後の身体に負担をかけることのないよう、産褥期の生活を工夫してみてくださいね。
まとめ
産後の肥立ちとは、出産後の女性が、妊娠前の状態まで回復するという意味です。
産後6~8週間頃のこの時期に体調を回復させることは、その後の生活を健康的に送るためにも大切です。
産後の肥立ちが悪いと、いつまでも不調が続くだけでなく、更年期障害の症状を悪化させるなど、後々の生活にも影響が出ると言われています。
もしも産褥期を過ぎても不調が残る場合は、一度医師に診察してもらっても良いかもしれません。
赤ちゃんとの生活をより充実したものにするためにも、産後の肥立ちが良くなるように工夫してみてくださいね!